私が初めて就職した会社で起こった出来事と乗り越え方について
私が初めて就職した会社は、地方の金融機関でした。
地元では名の知れている会社でしたので、父や母もそこに就職先が決まり大変喜んでくれました。
私自身も、とても嬉しくほっとしたことを覚えています。
2年間の専門学校を卒業し入社したので、年齢は20歳の時でまだまだ学生の感覚が抜けきれていませんでした。
仕事が終わると飲みに行き、遊びすぎてしまって次の日寝不足のまま仕事に行く…そんな事もありました。
初めて就職した会社で最も苦労したことは、自分がお客さんとして行っていた金融機関のイメージとかなりかけ離れていたことです。
お客さんとして行った時には、働いている人たちはものすごくゆっくりと接客や事務処理を行っているように見えました。
「バタバタせずに落ち着いているなぁ~なんでこんなにゆっくりできるんだろうか?金融機関ってすごく暇なんだろうだぁ。良い会社だなぁ。」と感じていました。
しかし実際に働いてみると全く違いました。
とにかく事務処理ひとつひとつが難しいのと、絶対に間違えてはならないというプレッシャーで押しつぶされそうになりました。
仕事内容は、入金、出金、税金の納付の受付くらいだと思っていましたが、新規や解約、口座振替、外貨両替、国債や投資信託の販売など幅広く行っていました。小切手や手形など、これまで見たことがなく、「何だこれは?」というものがたくさんありました。
国債や投資信託の営業は目標もあるので、セールスもどんどん行い、獲得をしていかなければなりません。
また、間違えて処理をしてしまうと訂正をしなければならないのですが、お客様のお通帳に訂正という文字が入り、お通帳を汚してしまうため、大変反省しなければならない出来事なのです。
上司には「どうして間違えたのか、今後どうすればミスをしないで済むのか」という事を長々と書いて提出しなければなりませんでした。
そして、毎月5日や10日、月末週は大変忙しく、お客様が何十人も来店します。何十分もお待たせをすることもあります。
自分の席と向かい合わせで長々と座って待っているお客様の目線がこちらを見ているようで、とても痛く感じられました。
時には、「何でこんなに待たされなくちゃならないの?」とか「今日はもう待てないわ、帰るから!」と怒ってしまうお客様もいらっしゃるので、一生懸命に仕事をしていてもわかって頂けず、そういった言葉に何度も何度も傷ついてしまった記憶があります。
また金融機関に勤めている先輩たちは、プライドが高く自信を持っている方が多いので、仕事のできない人がいると影で悪口を言ったりすることも多かったです。そういうのを聞いてしまうと辛くなりました。
中にはとても厳しい人がいて、心が折れそうになるときもありました。
特に新入行員には厳しく、一度で覚えられないと、「あれ、それは前にも言ったよね?前にも聞かなかったっけ?」と言われることも多々ありました。
さて、私が苦労したことをどう乗り越えたかという点です。
まず最初に、お客様をなるべくお待たせしないよう、事務処理は正確に早くできるようになることを目標にしました。
わからないことはそのままにせず先輩に聞いたり、事務の規定書があるのでそれで調べたりして、とにかく勉強をしました。
それから一度学んだことはノートに書くようにしていたので、ノートが何冊にもなりました。仕事をするときは、そのノートを横に置き、調べながら仕事をしたりして良く利用していました。
セールスについては、セールスの上手な先輩がどのように話しているのかを横で事務処理をしながら聞いていて、自分もチャンスがあった時に先輩の真似をしてセールスし、獲得につなげました。
それから、お客様には受付をした際に事前にどのくらい待たせるかをお伝えし、その時間よりも早く終わればあまり待たなくて済んだと思ってもらえるようにしました。
そして先輩には、「前にも教えたよね?」と言われないように、何か聞くときには「すみません、この間も聞いたのですがもう一度教えていただきたいです。」と、前置きをしたうえで聞くことを心がけました。
そうすると、同じことを聞いてもしっかりと教えてくれるようになりました。
こちら側がそういった姿勢を見せると、先輩たちも熱心に教えてくださるようになったので、この手はすごく良かったと思います。
現在は全く違う仕事をしていますが、そのときに学んだお客様との関わりだったり、先輩たちとの関わりを活かしてうまく仕事をすることができています。
初めて就職した時には、まだ学生の感覚が残っていて、あの頃の先輩たちには大変迷惑をかけたと思います。
ですが、あの時に学んだことがあるから今の自分がいるんだなと思い、とても意味のある期間だったと思います。
自分が30代になり、振り返ってみるとあの時の自分からはずいぶん成長できているなと思います。
本当に苦労はしましたが、今では就職して良かったなと思えています。