20代での転職を考えるのは早かったのか、それほどでもなかったのか。

・転職前の会社の状況

自分は大学を卒業して、この会社(転職前の会社)に入りました。

当時、バブルがはじけて2年ほどたち、売り手市場であった就職事情もちょうど転換する時期でした。

自分の場合、数十件のエントリー、連絡があった企業に履歴書を送ることの繰り返しでしたが、

大学の教授から紹介を受けた企業に紹介状を持って応募し、面接・試験を経て採用されました。

自分は大学では理系だったので、技術職での採用でした。

この会社は建設物件を扱う会社でしたので、自分は建設現場に出向くことも多かったです。

現場では休みも不定期で、なおかつ朝早くから夜遅くまで勤務する状況が続きました。

それでも、大学で学んできたことを活かそうと思い、また就職する際の面接でも

「形に残る仕事がしたい」と宣言していたので、精いっぱい努力し仕事を何とかこなしていました。

会社の状況は、忙しいものの経営的にはうまくいっているようでした。

自分の給与は残業代が「みなし残業代」しか支払われず、勤務時間の割には給与額は多くはなかったと思います。

 

・転職しようと思ったきっかけ、理由

この会社に就職してから約5年がたち、仕事の段取りもわかりはじめ

自分の会社の立ち位置も理解して仕事を進めていたころ、人事異動の話がありました。

今の現場を回る技術職から、「セールスエンジニア職」という部署に異動することになりました。

異動を断ることもできたかと思いますが、エンジニアという言葉が入っていたので技術的な仕事ができると考えて

部署を移ることになりました。

しかし、エンジニアとは名ばかりで実際にすることはネクタイを締め、背広を着て、革靴を履き得意先を回る

ルートセールス職」でありました。エンジニアの名の付く仕事はほとんどありませんでした。

1年ほど続けた28歳の時、上司に再び技術職に戻れるよう希望を出しました。

しかし、営業職でも少し結果を残し始めていたせいか、この要望は聞き入れられませんでした。

転職を考え始めたのはこの時です。

就職した当初は、まだ20代なのに転職を考えることになるとは思いもしませんでした。

 

・利用した転職サービスについて

当時は、転職サービス等も今より充実しておらず、専ら「就職情報誌」を読んで情報収集することが多かったです。

インターネットはありましたが、今より普及していませんでした。

当時は「35歳」前後で転職を考える人が多かったと思います。

今よりも20代で転職を考える人は少なかったのではないでしょうか?

その「就職情報誌」で見つけた数社にアポイントメントをとり、履歴書を送り、面接を受ける運びとなりました。

 

・転職先の入社1日目

前の会社を退職して、現在の会社に勤めることとなりました。

現在の会社では「技術職」で採用してもらいました。

1日目は会社の中をくまなく案内してもらいました。

イメージのわかない聞いたことのない部署名や、仕事の内容など

「聞くは一時の恥」とばかりにいろいろ尋ねて教えていただきました。

採用していただいたのが20代だったので、会社も若手と同じようにどんどん経験をさせるやり方でした。

年下の社員にOJTを受けることも多く、私は年下でも気にすることなく教えを乞うていきました。

 

・転職してよかったこと

現在の会社に入社したころは、正直給与は前の会社より低かったです。

しかし、残業代はきちんとつけてくれることや、4月、6月、12月に個人面談が直属の上司とあり

自分の評価を直接聞けたり、自分がやってきたことのアピールが直接上司にできたりと

前の会社よりは風通しがよく、働いていて納得感がありました。

技術職として働きたい自分の希望も最大限理解してくれていて、とても良い会社に転職できたと感じました。

 

転職して現在の会社に入って、大学卒業して入った前の会社の在籍期間を抜く年数働いています。

転職したのは20代でしたが、決して早くはなかったと感じています。

自分に向いた仕事というものはあると思います。しかし、会社側にもこう働いてほしいという希望もあると思います。

そこのマッチングがうまくいくか、いかないか。

うまくいかない、ミスマッチがあると感じるのであれば、20代での転職は決して早いとは思いません。

20代は確かに若いです。社会人経験も十分あるとは言えないでしょう。

しかし、20代の若さを期待して採用してくれる企業もあります。

当然そこには、会社側の長く働いてほしいと言って希望もあると思います。

そういったマッチングを期待して転職活動を行うのはよいかと感じます。

 

私も年数を重ね、今は新入社員に仕事を教える立場になりました。

転職して入ってくる20代の若者もいます。話を聞くと、やはりミスマッチを感じ転職を考える人がほとんどでした。

いま、仕事を教えている彼らが、また後輩に仕事を教えられるようになると

自分が今感じている充実感、転職してよかった、20代で転職を考えてよかった。

そう思ってくれるのではないかと感じています。